どうでもいいことを敢えて作っておく —肉を切らせる—
交渉ごとや、同僚と関わるとき、端から端まで、なにからなにまでこだわる人がいます。
資料のレイアウトや言葉遣いなど、重箱の隅をつつくようなことを言われることもあるでしょう。
自分からするとどうでもいいことであっても、ついつい細かいところを指摘されるとちょっとイラっとしてしまうことがあると思います。
でも、そこでイラっとして相手に食いついてはいけません。
そこで食いついてしまうということは、相手と同じ土俵に立ってしまうということです。
たとえば、あなたにとってとても大切な企画があったとします。
企画の命運を握る会議に向けて作る資料は、とても気合の入ったものになりますよね。
とても長い時間をかけて、一言一句を作り込み、レイアウトも微調整して、気合の入ったものを作ると思います。
このこと自体は、間違いなく素晴らしいことです。
自分の実現したいことがあるとき、それに全力で臨めるということは、誰がどうケチをつけようと立派なことですから。
でも、あなたの努力の全部がそのまま受け入れられるとは限りません。
もしかすると、性格の悪い人がいて、話の本筋とは違うところでケチをつけてくるかもしれません。
それもネチネチと言ってくるかもしれません。
そんなとき、どう対応するのがいいのか。
相手にしないことです。笑って相手の指摘を受け入れてあげればいいのです。
受け入れてあげることは、あなたと相手との器の差を示すことになります。
人は器の大きい方を応援したくなりますから、示すことができればあなたに風が吹きます。
でも、緊張している場で、受け入れてあげる余裕は生まれにくいかもしれません。
そのために、事前にできることが、どうしても譲れないところを決めておくということです。
企画であれば、その企画の骨組みとなるところ。
交渉であれば、成功に欠かせないギリギリのライン。
譲れないところを決めたら、他のところは思い切ってどうでもいいこと、と割り切ってしまいましょう。
どうでもいいとは言っても、敢えてあなたから捨てる必要はありません。
他の人から文句をつけられたら、惜しまずに切ってしまう、そう言った心持ちでいいのです。
なぜなら、そこにこだわるよりも、潔く相手の意見を受け入れてあげる姿勢を示すことで、こだわること以上の結果を手に入れられるからです。
それは人望や信用、雰囲気といった目に見えないものであることがほとんどでしょう。
でも、目に見えないものだからこそ、あなたが本当に苦境に立たされた時に、絶対に譲れないものを守る力になってくれます。
頑張ったからこそ、自分の努力を生かすために、敢えて切り捨てる勇気を持ってみてはどうでしょうか。