嫉妬のトリセツ ー他人を妬むことは悪ではないー
自分より幸せそうな人、優れている人、恵まれている人。
そういう人を見ると、してはいけないとはわかっていながらも、心のどこかで妬んでしまうこと、ありませんか。
巷に溢れるマインドコントロールのハウツー本では、妬むことを悪と決めつけ、妬むことそのものを否定する言説に溢れかえっています。
しかし、もう一歩考えを進めてみると、実はこれは非常に滑稽なことなのです。
なぜなら、嫉妬は人間にとってごく当たり前の感情だからです。
Septem peccata mortaliaという言葉をご存知でしょうか。ラテン語をかじったことがある方なら、どこかで聞いたことがあるかもしれません。
これは日本語に訳すと「七つの大罪」とされるものです。
いろいろな漫画やアニメの題材にもなっていますから、馴染み深い言葉だと思います。
この「七つの大罪」の歴史は古く、一説によれば6世紀からこの形になったと伝えられています。
この七つの中にinvidia、すなわち「嫉妬」が含まれているのです。
もちろん歴史的経緯を辿れば、嫉妬は人間にとって悪であることは間違いありません。
ですが、悪だからといって、それを感じないようにできるのでしょうか。
裏を返せば、永きにわたって「嫉妬」は人間と深い関わりのある感情であることがわかりますし、現代においても溢れかえっている以上、それを否定し消すことは不可能であることがよくわかると思います。
つまり、非現実的な理想を言ってしまえば、妬みを感じないようになればいいのですが、それはあまりに無責任な言説であることがよくわかって頂けたかと思います。
それでは「嫉妬」をどうすればいいのでしょうか。
そこで必要なのが“嫉妬のトリセツ”なのです。
言い換えれば、嫉妬をいかに味方につけるか、ここが肝要なのです。
最初のステップとして、嫉妬を肯定してあげてください。
自分より素晴らしい人は、どうしても羨ましいものなのです。
そう思うのは、人として当たり前なのです。
その感情を否定して、押し殺したところで、ストレスにしかなりません。ストレスはさらに嫌な感情や行動を呼び寄せてしまいます。
まずは羨ましいと思ってしまう自分を認めてあげてください。あなたは悪くないのですから。
受け入れたら、今度はその感情を自分の幸せのために使ってあげましょう。
羨ましいと感じることは、悔しいことと表裏一体です。
その悔しさをバネに、行動を起こしてみましょう。
その行動はなんだっていいのです。ジョギングだって、楽器だって、なんだっていいのです。
気をつけるべきなのは、なにもしないことです。
なにもしないで座っているだけだと、どうしても負の感情がそこに渦巻いてしまいます。
身体を動かして行動することで、次の一歩につながるのです。
踏み出した一歩は、なにもしないでいるよりも遥かに大きな幸せをもたらします。
妬むことは人間として当たり前のことなのです。
当たり前のことなのですから、妬む自分を嫌いにならないで、それを幸せに転化してしまいましょう!